昔の人は、人の死を別の表現で、こう言いました。
「土に還る」
「還る」という言葉は、もともとあった場所に戻すという意味です。
「土に戻る」「土に返却される」ということです。
土は、宇宙と言い換えることができます。
まだ宇宙という存在を知らなかった大昔の人は、宇宙のことを土と表現しました。
土から生まれた人間は、その一生を終えるときに、また土に戻ることを表現しているのです。
科学技術が発展していなかったころから、私たちは土(宇宙)から生まれてきたという事実に、直感的に気づいていたのです。
この表現は、大変に奥深い表現であり、的を射ています。
まさに私たちが宇宙から誕生したということに気づいていなければ、出てこない表現です。
昔の人は、しっかり気づいていたのです。
死ぬということは、神様から一時的にお借りしたあなたの体を、返却するということです。
死ぬという表現には悲しい響きがありますが、ただ「還る」だけです。
元にあった場所へと返却され、溶け込むことです。
「土に還る」とは、そういうことなのです。
生きている時間は、大変貴い。
いずれ返さなければならないときがやってくるのですから、生きている間に精いっぱい生きることが大切なのです。