久しぶりに会ったとき、自分のことを覚えているか尋ねる人がいます。
「お久しぶりです。私を覚えていますか」
自分のことを覚えているか気になって、相手に聞きたくなるでしょう。
覚えてくれていると誰でも嬉しいものです。
しかし「私を覚えていますか」というセリフには、注意したい。
この一言のどこがいけないのかと思いますが、感じがよくありません。
相手を焦らせ、恥をかかせる可能性があるからです。
逆の立場になってみるとわかります。
「私を覚えていますか」と聞かれる立場を想像してみてください。
「私を覚えていますか」というのは質問です。
久しぶりに会ったとき、急に質問されると焦ります。
スムーズに名前が出てくればいいですが、なかなか名前を思い出せないこともあるでしょう。
よくあるのは「顔は覚えているが、名前が思い出せない」というパターンです。
顔は見たことがあっても、肝心の名前が出てこなくて困った経験があるのではないでしょうか。
すぐ名前を思い出せることもありますが、なかなか思い出せないこともあるでしょう。
年齢を重ねて記憶力が乏しくなると、名前を思い出せないことが増えます。
ましてやとっさに名前を思い出すのは大変です。
相手の名前を間違えると失礼なので、自信がないと、言葉に出して言うのをためらいます。
「私を覚えていますか」と尋ねると、相手をどきっとさせ、焦らせます。
ストレスを与えることになり、困らせてしまうのです。
相手に「どちら様ですか」というセリフを言わせないことです。
「どちら様ですか」というセリフを言うのは、勇気がいります。
相手に恥をかかせることになります。
相手の面目をつぶしてしまうことになります。
久しぶりに会えても、嫌な空気が漂うのです。
大切なことは、自分から名前を名乗ることです。
久しぶりに会ったときは、自分で名前を名乗りましょう。
「お久しぶりです。水口貴博です。先日はお世話になりました」
自分から名前を名乗るのです。
名乗るときは、名字だけでなくフルネームのほうがいいでしょう。
自分から名前を名乗れば、嫌な感じはしません。
相手の記憶が曖昧でも「水口さんですね」とすぐ復唱できます。
久しぶりに会って名前を思い出せなくても、スムーズに会話を始められるのです。
たとえ名前を覚えてくれていたとしても、記憶の再確認になるので無駄にはなりません。
ますます名前を覚えてもらえるのです。