私が、新人時代のある日、仕事をしていたときのことです。
上司から、小さな仕事を依頼されました。
小さな仕事なので、やればすぐ終わりそうな内容です。
緊急でもなく、大した内容でもなさそうです。
上司からは「時間のあるときに、いつでもいいよ」と言われました。
そのとき私は「いつでもいいなら、後からでいいか」と考えてしまいました。
ここで油断したことが、失敗でした。
昼食を取った後、ゆっくりしてから取りかかろうと思い、気を抜いていました。
お昼を過ぎて、少し時間が経ったときのことです。
今度は別の人から「緊急の仕事」を頼まれました。
今すぐ取りかからないと、他人に迷惑がかかり、できるだけ速く処理しなければいけない仕事でした。
緊急ですから、後回しにすることはできません。
当然のごとく、私はすぐ取りかかることになりました。
そうせざるを得ない状況でした。
たいていそういう緊急の仕事に限って、仕事量も膨大だったりします。
緊急の仕事に取りかかり、たくさんの仕事をこなした私は、疲れ果ててしまいました。
同僚も一緒に協力をして作業に取り組んでいましたが、同じように疲れ果てている様子でした。
疲れているもの同士がそばにいると「大変だったね」と雑談をし始めてしまいます。
すると、いつの間にか定時を過ぎていました。
「頼まれた仕事は、明日にすればいいか」と思い、その日は終わりにしました。
一晩寝て、ある程度時間が経つと、忘れてしまうのが、人間です。
数日後、上司から「あの仕事は、まだかい」と、催促されてしまったとき「しまった」と思いました。
頼まれていた仕事そのものを忘れていました。
すぐ仕上げようとした私は、急いだばかりに、ささいなミスをしてしまいました。
焦る気持ちが、うっかりしたミスを招いてしまいました。
こうして小さな仕事を終えるまでに、時間がかかり、ミスもしてしまった失敗をしました。
「こんなことになるなら、頼まれて時間の余裕があったときに、すぐ取りかかるべきだった」
この失敗で得た教訓です。
「小さな仕事ほど、すぐ取りかかる」ということです。
小さな仕事ほど油断をしやすく、ミスを招きやすいからです。
事実、小さな仕事は、取りかかりやすいはずです。
集中すれば、すぐ終わらせることができるはずです。
童話『ウサギとカメ』で、ウサギがカメに負けたのも、油断したことがきっかけです。
油断したため、思わぬ失態を招いてしまいました。
気をつけるのは、大きな仕事や緊急の仕事だけではありません。
小さな仕事ほど、気を抜いて、ミスをしやすいので要注意です。
小さな仕事ほど油断をせずに、すぐ取りかかるのが、ベストな対処法なのです。