上司は、知識で部下に勝とうとしてはいけません。
知識の吸収や習得は、若い新人のほうが、圧倒的に有利だからです。
上司が偉そうに知識の豊富さを自慢できるのは、最初だけです。
入社したての新人に対しては、多くの専門的な知識がある上司のほうが「教える立場」になれます。
しかし、若くて記憶力がよく、体力もある新人は、すごい早さで知識を吸収します。
私は上司として多くの部下に接してきましたが、いつもこの早さには驚かされます。
教える側になるのは最初のころだけで、会社に3年もいれば、上司より仕事に詳しい知識を持っていてもおかしくはありません。
一方、年を取っている上司は、体力も記憶力も衰えます。
悲しいかな「老いる」という人間の宿命です。
いずれ立場は逆転し、上司は部下から「教えてもらう立場」になる日がやってきます。
そうしたとき、いかに「素直になれるか」です。
知識だけの競争なら、部下には負けてしまうことを素直に認めます。
つまらないプライドは捨てて、素直に部下から教えてもらう姿勢を持ちましょう。
その代わり上司は、若い人にはない「人間性」の部分で勝負します。
生き方・考え方・マナーなど、人間性の部分で、部下を圧倒します。
それができたとき、たとえ知識は乏しい上司でも、部下からの人望を集めることができます。
部下が尊敬するのは「この人と一緒にいると成長できる」と確認できたときです。
人として成長できる人のそばにいたいと思いますし、ついていこうと思います。
「知識を磨く」より「人間性を磨く」ほうが、人望を集める上司になれるのです。