知的な話し方のマナーとして「口数を減らす」というポイントは欠かせません。
口数が少ないと、それだけ一言の重みが増して、相手にストレートに伝わります。
いまや日本の名役者の1人である高倉健さんは、口数が少ないことでも有名です。
高倉さんは、普段からなかなか自分から話そうとしません。
テレビに出てマイクを向けられても、必要最低限の言葉しか話しません。
しかし、口数が少ないだけに、耳を傾ける私たちはその一言に集中ができます。
じっくり考えたうえで口にしている言葉だということが感じられ、こちらも真剣に聞こうとします。
だらだらした説教のような長話より、シンプルで短い言葉のほうが、心にすっと入ってきます。
かっこよく響きます。
日本のことわざや世界の格言は、常に「一言」です。
一言のほうが、人の記憶に残り、忘れにくく、心に響くからです。
無駄な言葉をそぎとった格言のように、口数も無駄を減らせば、相手の心に響くようになります。
賢者は多く語りません。
仏像は、一言も話しません。
ですが、仏像と向かい合って手を合わせていると、さまざまな声が聞こえてくるような気がします。
相手に伝えたいことがあるなら、言葉の数を減らすことなのです。