レストランで食事を楽しむ瞬間といえば、どんなときでしょうか。
やはり料理を食べているときではないでしょうか。
おいしい料理を食べるためにレストランに来ているのですから、当然のことと思われます。
しかし、実はもっと早い段階から始まっています。
それは「メニューを選ぶ時間」です。
レストランに入って、席に案内され、テーブルに着きます。
メニューを広げて「どれを食べようかな」と考える時間があるでしょう。
このときからすでに食の楽しみが始まっています。
「これがおいしそう。これもおいしそう。どれにしようか迷っちゃうなあ」
あれこれ見ながら迷う時間があるでしょう。
頭の中では食べたときの味を思い浮かべます。
人には素晴らしい想像力があります。
まだ食事を食べてはいませんが、頭の中では料理の味を思い浮かべるでしょう。
自分がそれを食べると、どんな気持ちになるかイメージします。
おいしそうな味をイメージすると、にやにやしますね。
食べたときの自分がどれだけ幸せな気分になれるか想像するでしょう。
よだれが出そうになったり胃袋がざわついたりします。
食の楽しみは、メニューを選ぶところから始まっているのです。
メニューを選ぶ時間を面倒くさがるのは損です。
メニューを選ぶ時間を、じっくり楽しんでください。
迷うことはストレスのはずですが、このときばかりは妙に気持ちいい。
食べている時間が「舌で味わう」とするなら、メニューを選ぶ時間は「心で味わう」です。
まだ料理は食べていなくても、おいしさをイメージして、心で味わう時間です。
メインメニューを選ぶときからデザートのことまで考えていれば、ますますイメージが膨らんでわくわくするでしょう。
同席者がいるなら「どれを食べようか」と一緒に考える時間を大切にしましょう。
「これもいいね。あれもいいね」と一緒に考えるのがいいのです。
一緒にメニューを考えると、共同作業をしているような気分になって情も深まっていくでしょう。
相手が友人であれば友情が深まり、パートナーであれば愛情が深まります。
まだ食事は食べていなくても楽しい時間を過ごしています。
メニューを選んでいる時間が、すでに豊かな時間です。