観察力と洞察力。
どちらも「対象をよく見て理解する」という点は同じです。
「観察力より洞察力のほうが重要そう」
「観察力より洞察力のほうが見る力が強そう」
「観察力はよく聞くけど、洞察力はあまり聞き慣れない」
ぼんやりとした違いで理解している人も多いでしょう。
観察力と洞察力の違いを、曖昧にしている人もいるのではないでしょうか。
しかし、響きは似ていても、意味は違います。
同じような意味で使っていると、コミュニケーションに誤解やすれ違いが生じることがあります。
いま一度、それぞれの違いについて整理しておきましょう。
観察力とは何か。
一言で言うと「見えるところを見る力」のことをいいます。
観察力の重要なポイントは「あくまで見える範囲のみ」という点です。
見える範囲を通して、ありのままの状態を注意深く見ることで、様子や変化を理解します。
じっくり細かな点まで観察して、理解します。
悲しそうな表情から、悲しそうな意味を読み取ります。
たとえば、絵を描くとき、対象物をじっくり見る行為は、まさに観察力が発揮される場面です。
観察力があれば、細かい点まで注意を向けることができ、画力につながります。
洞察力とは何か。
一言で言うと「見えないところまで見抜く力」のことをいいます。
洞察力の重要なポイントは「見えるところだけでなく、見えないところも含める」という点です。
物事の真実や本質は、表に表れているとは限りません。
実際のところ、真実や本質は、なかなか直接見ることができない場合のほうが多い。
見た目だけで理解するのではなく、見た目を手がかりにして見えないところまで見抜きます。
たとえば、普段おとなしい人が、あるとき急に口数が増えたとします。
見た目でそのまま判断するなら、明るく元気な様子です。
「元気が出てきたのかな」「いいことがあったのかな」と思いそうですが、実際はわかりません。
隠し事がばれそうで、心理的な焦りによって口数が増えている可能性が考えられるでしょう。
強く主張したいことがあり「理解してほしい」という気持ちの表れかもしれません。
相手が「コホン」と咳をしたとします。
「喉の調子が悪いのかな」「風邪なのかな」などと思いますが、実際は違うかもしれません。
「その話題には触れないでほしい」という暗黙のメッセージという可能性もあるでしょう。
特に人とのコミュニケーションでは、洞察力が重要です。
人間関係のトラブル回避に洞察力は欠かせません。
このように観察力と洞察力は、意味が異なります。
能力としては、観察力より洞察力のほうが高度です。
洞察力には知識や経験が必要であり、より高度な能力が求められます。
この違いで理解しておけば、恥をかくことはありません。
観察力と洞察力の違いを理解しておけば、人とのコミュニケーションもスムーズになります。