私の女友達に、大人のにきびに悩んでいる人がいます。
先日、大人のにきびに悩みがあり、皮膚科の医者に診てもらったそうです。
「ストレスの影響で、ホルモンバランスが崩れています」と言われたそうです。
その女友達は、不満そうでした。
「うまい表現で原因がぼかされた気がする。原因をはっきり言ってほしい」
医者からのアドバイスは「ストレスをためすぎず、規則正しい生活を送ってください」と言われたようです。
よくわからない原因と、ありきたりなアドバイス。
その女友達は「はっきり原因がわからないから、適当なことをいってごまかされたみたい」と言い、物足りない様子でした。
わかったようで、わからない表現ですよね。
大人のにきびの事情をよく知る医者は「ホルモンバランスが崩れています」という言い方をするはずです。
大人のにきびに関する記事を見ると「ホルモンバランスが崩れると、大人のにきびができます」と書かれています。
医者からのアドバイスといい、雑誌の記事といい「ホルモンバランスが崩れる」というフレーズを、よく見聞きします。
しかし、原因をぼかそうとしているわけではありません。
本当に、そういう言い方が、最も適切なのです。
どういうでしょうか。
ホルモンの分泌量は、大変微量です。
たとえば、成長ホルモンなら、一生涯で分泌される量は、たったスプーン2杯分といわれます。
少量です。
わずかな量で、大きな影響を与えるのが、ホルモンの特徴です。
女性ホルモンの1つ、エストロゲンの分泌が多いと、美肌につながりますが、多すぎるとがんのリスクになると確認されています。
女性ホルモンである、エストロゲンやプロゲステロン。
男性ホルモンである、テストステロンやアンドロステロン。
これだけではありません。
成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン、副腎髄質ホルモン、すい臓ホルモン。
多種多様なホルモンが存在します。
こうした数多くの微量のホルモンが、それぞれ絶妙なバランスで見事に調和することで、私たちの健康は保たれています。
いわば、オーケストラによる演奏会です。
たくさんの演奏家の力を合わせることで、1つの傑作を奏でています。
ホルモンによる精密なバランスに、わずかなストレスなどが加わると、事情が少し変わります。
ストレスに対抗しようとして、ホルモンの分泌量が微妙に変化します。
一般的にストレスを受けると、まず男性ホルモンの分泌量が増えます。
口周りににきびができるのは、男性ホルモンが分泌された影響です。
しかし、ここで注意していただきたいのは、男性ホルモンだけの影響だけではない点です。
もし男性ホルモンの影響だけなら、男性はみんな、口周りににきびがいっぱいのはずです。
そうではありませんね。
男性ホルモンの分泌量が増え、男性ホルモンの影響が出つつも、別のホルモンへの影響も出ます。
歯車が狂ったかのように、次々と全体的なホルモンの調和が乱れ、肌荒れや大人のにきびに発展します。
それが「ホルモンバランスが崩れる」という状態です。
ぼかしているような言い方ではありますが、実際のところ、最も的を射た表現なのです。