執筆者:水口貴博

テーブルマナーのすすめ

11

「楽な食べ方」を中心に考えるなら、野生動物と変わらない。

「楽な食べ方」を中心に考えるなら、野生動物と変わらない。 | テーブルマナーのすすめ

「なぜ、わざわざこんな面倒くさい食べ方をするのだろう」

西洋料理のテーブルマナーを学んでいると、ときどきそう思うことがあります。

そう思っていた時期がありました。

マナーを学ぶたびに「面倒だな。嫌だな」と思っていたのです。

しかし、テーブルマナーに触れているうちに「なぜテーブルマナーを学ぶのか」という理由に、はっと気づきました。

気づいたとき、楽な食べ方をしようとしている自分が、人間として急に恥ずかしくなったのです。

では、どういうことに気づいたのか。

それは、テーブルマナーでは「楽な食べ方」を中心に考えないということです。

「品性のある食べ方」を重視します。

なぜ品性を重視するかというと、それこそ「人間らしい文化の表現」だからです。

知性があり、品性がある人間だからこそ、美しさや品性を重視しながら食べることができます。

それが、ほかの野生動物の食べ方とは異なる点です。

「楽な食べ方」を中心に考えるなら、野生動物と変わりません。

ナプキンも使わず、直接手で持ってかぶりつくほうが、楽です。

ただ腹を満たすだけならそれでもいいでしょう。

しかし、そうではない。

いかに美しく、上品に食べられるか。

それが、野生動物と人間の違いです。

テーブルマナー全体において言えますが、手を汚さず美しく食べるのは、人間らしい文化の表現です。

すべて人間らしい知性をアピールするチャンスです。

バナナは、その典型です。

手で食べればいいところを、あえてナイフとフォークで食べる。

どう考えても、手に持って皮をむいて食べるほうが楽です。

誰に聞いても、そう思うでしょう。

しかし、ここがテーブルマナーが試される瞬間です。

あえてナイフとフォークを使って食べるからこそ、人間らしい品性がうかがえます。

バナナをナイフとフォークを使って食べるのは、地球上で唯一、人間だけです。

サルではできない。

知性と品性を兼ね備えた人間だからこそ、美しさや品性を表現しながら、食べようとするのです。

テーブルマナーのすすめ(11)
  • 「楽な食べ方」を中心ではなく「品性のある食べ方」を中心に考える。
テーブルマナーで差をつけろ。

テーブルマナーのすすめ

  1. かっこいい人を見た経験が、私の意識を一変させた。
  2. レストランでの口説き率は、異常に高い。
  3. フォーマルなレストランで、頼りがいのある男性に見られる方法。
  4. テーブルマナーの意味を、最初から求めない。
    結果には、タイムラグがある。
  5. 給仕やソムリエに、嫌われる客と好かれる客の特徴。
  6. ルールはルール。
    面倒なことを嫌がらない人が、かっこいい。
  7. 「マナー、マナー」と言っているのは、まだ慣れていない証拠。
  8. どんなに面倒なマナーも慣れてしまえば、なんともない。
  9. 「落ち着け! 落ち着け!」と思うほど、余計に焦ってしまうのが人間。
  10. 下心のためのおごりは、好かれるどころか、むしろ嫌われる。
  11. 「楽な食べ方」を中心に考えるなら、野生動物と変わらない。
  12. テーブルマナーで差をつけろ。
  13. テーブルマナーとは、日常生活をちょっと上品に変える魔法である。
  14. 知識は盗まれない。
    体で覚えたことは、忘れもしない。
    テーブルマナーは、一生涯の財産になる。
  15. あなたのマナーは、3世代続く。
  16. クレームを言った後は、再訪問するのがマナー。
  17. 給仕にとって「おいしい」ほど、嬉しい褒め言葉はない。
  18. テーブルマナーは、推理ゲームとして考えると面白い。
  19. マナーはスポーツと同じ。
    まず頭で覚え、最後は体で覚える。
  20. テーブルマナーで、相手のことがわかってしまう。
  21. あらを指摘して通のふりをするのが、一番かっこ悪い。
  22. 頭にくるクレームほど、小さな声で伝えるのがマナー。
  23. テーブルマナーを知っていると、いつの間にか可能性が広げられる。
  24. あなたのマナーが、相手を幸せにさせる。
  25. 他国の食事マナーの習得は、異文化を学ぶことに匹敵する。
  26. 時代とともに変化する「かっこいい」より、変わらない「かっこいい」。
  27. 外見に恵まれない人は、テーブルマナーで一発逆転のチャンスを狙え。
  28. 魚料理に対する苦手意識の大半は、ほかとは違い、練習しだいで克服できるもの。
  29. レストランの堅苦しい場所を使って、真面目な気持ちを伝える。
  30. 食事をサーブする側を経験すると、マナーの大切さを痛切に感じる。

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