10歳以前の子どもは、まだ十分な分別がありません。
まだ手先も不器用ですから、道具を誤って使い、大けがをさせてしまうこともあるでしょう。
まだ親の関与が必要な時期です。
しかし、10歳を過ぎればどうでしょうか。
10歳にもなれば、それなりに分別がつき、常識・作法・マナーなどを覚えます。
足し算や引き算ができるようになるので、買い物もできるようになります。
道具の使い方もわかるようになっている年齢です。
お金とは何かを理解し、世の中のことが少しずつわかり始める。
10歳になれば、そろそろ子どもへの対応を変える時期です。
できるだけ子どもに、自分のことは自分でさせるよう教育方針を変えるようにします。
子どものことが心配とはいえ、いつまでも親が子どもの面倒を一から十までやるのもよくありません。
子どもへの過保護・過干渉を、そろそろ卒業する時期です。
たとえば、今まで学校で使うノートには、親が名前を書いていました。
10歳前は、まだ字の書き方を十分にわかっておらず、漢字もわかりませんでしたから仕方なかった。
しかし、10歳にもなれば、自分で自分の名前くらいは書けるようになっているはずです。
自分でノートに名前を書かせます。
下手な字でも結構です。
子どもができるのに、親がやる必要はありません。
散髪もそうです。
10歳までは、親が子どもを散髪屋まで連れて行き、散髪が終わるまで待っていました。
交通ルールもわかっていませんし、どこに散髪屋があるのかもよくわかっていないので仕方なかった。
しかし、10歳にもなれば、散髪屋の場所がわかり、交通ルールも覚え、お金の支払い方も自分でできるようになります。
親は子どもに、散髪に必要なお金だけを持たせ、近くにある散髪屋に1人で行かせます。
どうすればいいのか自分でもわかっているはずです。
散髪屋は危険なところではありません。
子どもができる範囲のことからでいい。
もちろん10歳といわず、成長が早ければ、9歳からでも8歳からでもいい。
大けがや、大金が関わるようなことは、親の関与が必要ですが、日常の雑務は子どもにやらせるくらいでいい。
親がするのは、子どもが大けがをしないサポートだけでいい。
「自分のことは自分でやる」というしつけです。
できるようになったことは、自分でやらせるようにする。
できる範囲を、次第に広げていく。
これが「自立の第一歩」です。
まだ世間から見れば小さな第一歩ですが、本人には大きな一歩です。
自分のことを自分でできるようになっただけでも、大きな成長です。
この積み重ねによって、子どもは成長していくのです。