アメリカには「チップ」という習慣があります。
レストランで支給してくれた店員に対して「ありがとう」という感謝を、具体的な金銭で表現するためです。
基本的に食事が終わって席を離れる際、テーブルの上にチップを置くのが基本です。
およそ、10パーセントから20パーセントが相場です。
もちろん気持ちのいい支給をしてくれた人には、多めにチップを支払います。
日本では、食事料金の中に、心付けの料金が含まれているので、チップを払う習慣がありません。
私はアメリカ留学中、アメリカの習慣にのっとって、当然のようにチップは食後にテーブルの上に置いていました。
そんな、ある日のことです。
隣のテーブルに座っていた、ある紳士的なアメリカ人が「食事前」にチップを支払うという不思議な光景を目にしたことがあります。
それも、チップは少し多めです。
なぜ、そうしているのかは、初めは理解できませんでした。
しかし、その後の変化を目にして、すぐ理由がわかりました。
チップを最初に支払ってもらった店員は、急に機嫌がよくなりました。
紳士は、チップに見合うだけの接客サービスを受けていたのでした。
たしかに高額のチップをいただければ、より質の高いサービスをしようと思うのは人の心理です。
チップは食事が終わってから支払うという常識にとらわれていた私は、度肝を抜かれました。
人の心理をよく理解している彼の行動に、感動を覚えました。
お金は、後から払うより、初めに払うことです。
高いサービスを受けたいと思うなら、高い料金のチップを、初めに支払います。
最初に払うことで店員の機嫌がよくなり、より質の高いサービスを受けやすくなるのです。