「989円」という値札があります。
あなたなら、どんな印象を持ちますか。
もしや、ぱっと見た印象から、989円を900円と考えていないでしょうか。
実は、店側は、本当は1,000円で売りたいところを、わざと989円と書き直しています。
理由は当然、売り上げを伸ばしたいからです。
では、なぜ売り上げが伸びるのかをご説明します。
人間は、常にいつも「だいたい」で考える癖があります。
脳は「だいたいで考える」という癖があります。
目に飛び込んでくる情報を、すべて正確に捉えていると、脳への負担が大きくなるからです。
もはや、人間の本能といっても過言ではありません。
ゆえに人間は、頭に9がつくから、989円ではなく900円と大雑把に考えてしまいがちです。
さらにこれだけではありません。
1,000円は4桁であり、989円は3桁です。
4桁と3桁では、見た目が明らかに違いますし、印象がまったく変わりますね。
3桁までなら許せる金額ですが、4桁の数字になった瞬間から、急に高額商品になった感じがあります。
また余談ですが、3桁の数字では「,」がつきませんが、4桁の数字では「,」がつきます。(例:800円1,000円)
「,」が加わる分、価格表示が横へ長くなり、値段も急に高くなった印象に変わります。
3桁に書き直した値札にすると、安い印象が強くなるため、結果として売り上げが上がります。
つまり、11円の損額があっても、ぎりぎり3桁の値段のほうが4桁で値段を提示するより、儲けが大きくなります。
大雑把に考えるところが、人間の長所でもあり、短所でもあります。
売る側は、人間の「だいたいに考える」という心理を巧みに操り、売り上げアップに利用します。
少しでも消費を伸ばそうと、そういう数字のトリックを使います。
もちろん3桁のほうが安いのですが、数字をしっかり見てみましょう。
989円と1,000円では、差額がたった11円です。
四捨五入して考えれば、どちらも同じ金額になります。
しかし、ぱっと一目見た印象では、989円のほうが安く感じてしまうのです。
賢い消費者は、四捨五入をして計算をします。
四捨五入すれば、数字の事実が見えてきます。
989円という値札があっても、四捨五入して1,000円と考えることができます。
ぱっと見た印象が違っていても、四捨五入すれば同じ金額になるので、騙されることがなくなります。
あなたも四捨五入して考える習慣を今すぐ身につけましょう。
騙されない賢い消費者は、値札を四捨五入して考えるのです。