本屋に並ぶ本は、どれも優秀な先生たちです。
どの1冊を選ぶかは、どの先生の、どの授業を受けるのかと同じことに例えられます。
ただ違うところは、実際の授業より自由があるというところです。
学校の授業では、教える速度は先生の判断に委ねられます。
早口で話の展開が速い先生もいれば、のろのろしか進まない授業もあります。
教えるスピード、教え方、先生のその日の気分など、主導権はすべて向こう側にあります。
ほかにも生徒がたくさんいる中で、自分が理解できず「待ってください」とはたしかに言いづらいですよね。
先生は「わからなければ言ってください」と言いますが、実際のところ「質問があります」を何十回も言っていられません。
またその逆のパターンもあります。
授業が遅すぎていらいらしてしまうというパターンです。
自分は予習をしてとっくに理解し、できているのに、必要以上にゆっくり教える先生では、うつらうつら眠くなります。
内容はよくてもスピードが遅すぎるなら、自分のペースに合っていないということになります。
先生とはいえ、当たり外れは大きいのです。
当たればいいのですが、外れた場合は授業料と時間が無駄になった気分になります。
しかし、本は違います。
本は、実際の先生のようにころころ気分を変えることはありません。
いつも落ち着いて話しかけてくれる先生です。
わからないところがあれば、いくらでも立ち止まることができるし、本の途中から始めてもいいのです。
どの本を読んでもいいし、本の難易度もこちらで選択ができ、決めることができます。
学校では飛び級はできませんが、本なら飛び級はいくらだって可能です。
子どもが大人向けの難しい内容の本を読むことも可能です。
難しすぎれば途中でやめてもかまいませんし、だからと言って叱られるわけでもありません。
ぱらぱらめくり、つまみ食いのような学び方もできます。
本は、いわば一対一の勉強です。
家庭教師も一対一であるように、本も、著者と読者の一対一のやりとりになるのです。
友人の話に邪魔されるわけでもなく、1人になって学べますから、集中ができ、身につきやすいのです。
私は、本を読む習慣を身につけてから、生活が劇的に変わりました。
何が変わったのかというと、本のほうが学ぶ効率がよいため、普段の何倍もの速さで勉強できるということです。
たとえば、ある人の自伝を1冊読めば、その人の一生で得た学びを勉強できたことになります。
何十年も生きた人の人生を、2時間足らずで学べるのです。
本の値段が安すぎて、申し訳ないと思ってしまうほどです。
時間にせよお金にせよ、元手が多くかかりません。
本は効率的であり、効果的なのです。
本ほど、自由度の高い先生はいません。
自分のやりたいことや才能を発揮させるためには、先生となるべき本を探し徹底的に研究し読み尽くすことが大切です。
すでに一流である人の話や技、技術や知恵を学べば、学校の先生たちより効率よく進めることができるのです。