商売の理想は、右肩上がりです。
売り上げが毎年順調に伸びれば、夢が広がり、興奮が収まらないでしょう。
商売人にとって「増収増益」ほど、魅力的な響きはありません。
右肩上がりの状態が毎年続けば、来年もさらに売り上げが伸びるだろうと期待するのではないでしょうか。
しかし、ここが商売の怖いところ。
残念ですが、右肩上がりが永遠に続くことはありません。
どこかで調子が悪くなることもあれば、いつか上限に達することもあるでしょう。
思わぬ新規参入によって、市場占有率が大きく変化することも珍しくありません。
にもかかわらず「右肩上がりがずっと続く」と錯覚を起こしてしまうのが怖いのです。
調子がいいときに傲慢や高飛車になると、商売の落とし穴になります。
右肩上がりはずっと続くと思うのは錯覚です。
景気に波があるように、企業の売り上げにも波があります。
右肩上がりにも、いずれ終わりが訪れると考えるのが妥当なのです。
では、最初から右肩上がりを諦めればいいかというと、そうではありません。
たしかに右肩上がりはずっと続きませんが、ずっと続くような努力は必要です。
傲慢や高飛車になることなく、真面目にこつこつ商売を進めていくことです。
真面目にこつこつであっても、目線は上向きを維持して、右肩上がりを目指します。
「来年も右肩上がりになるだろう」と、乱暴に考えるのではありません。
「来年も右肩上がりにするために頑張ろう」と、進歩を目指す意識が大切です。
冷静を保ちながら意気込めば、商売の正しい道を踏み外すことはありません。
きっと来年も右肩上がりが実現するでしょう。