使い慣れたはずの母国語。
毎日欠かさず使っている日常会話。
いつでもどこでも私たちは「言葉」を話せます。
にもかかわらず、自分の気持ちを正確に伝えるのは意外と難しいものです。
ちょっとした言葉の違いで意味やニュアンスが変わります。
たとえば「コーヒーがいい」と「コーヒーでいい」は、似ていますが違います。
一方は丁寧で、もう一方は乱暴です。
「あと1時間しかない」と「あと1時間もある」も、似ていますが違います。
一方は焦りで、もう一方は希望です。
わずかな違いですが、相手に与える印象はずいぶん変わります。
1文字が変わるだけで、意味が真逆に変わることもあります。
本人に悪気があるとは限りません。
うっかり言い間違え、正直の気持ちとは異なる表現を使ってしまったのかもしれません。
自分でも、なぜその言葉を選んだのかわからないこともあるでしょう。
心に余裕がないときは、思考力や集中力が低下して、余計な一言を言いやすい。
あなたもそういう経験があるのではないでしょうか。
あなたがそうであるように、相手もそうなのです。
相手から、傷つくことを言われたとします。
そんなとき、あまり難しく考えないことが大切です。
「うっかり言い間違えたのだろう」「ちょっと余裕がなかったのかな」と、あまり深く気にしません。
深く気にしないほうが、いら立つことも減って、穏やかな気持ちでいられます。
「私も同じ経験がある」と考えると、さらりと流しやすくなります。
人間は、不完全な生き物です。
そして人間は、間違える生き物です。
自分も言い間違えることがあるのですから、ご愛嬌です。
寛大な心で構えていたほうが、いら立つことも減るのです。