あるところに、自殺願望を持つ男性がいました。
つらい過去があり、人生に明るい展望が見いだせず、行き詰まっていました。
「あの過去があったせいで」と、いつも過去を恨んでいました。
「もうこんな人生は嫌だ。死んでやろう」と思った、そのときです。
「どうせ死ぬなら、この世をもう少し楽しんでからにしよう」と思いました。
死ぬ前に、今まで勇気がなくてできなかったことを、がむしゃらに挑戦してみました。
死ぬ瞬間になれば、怖いものがなくなります。
家の外に出て、遠くまで行き、活動範囲を広げました。
すると、死のうとしていた心境に、変化が現れ始めました。
新しい挑戦をしていくうちに、思いのほか、人生が楽しくなってきたのです。
新しい友人ができました。
新しい経験も増えました。
人生には、まだ自分が知らない楽しみが、たくさんあることを知りました。
そのとき、彼ははっと気づいたのです。
人生に行き詰まっていたのは、単に挑戦が足りなかっただけでした。
彼は一変しました。
「人生、まだまだ捨てたものではない。もっと生きたい」と思い始めたのです。
挑戦する男性へと、生まれ変わりました。
彼の口癖も変わりました。
「あの過去があったせいで」と嘆いていた口癖が、今では「あの過去があったおかげで」と感謝するようになりました。
苦しい過去が、感謝へと変わったのです。
今がつらければ、今が素晴らしくなるように、努力することです。
今が素晴らしくなれば、これまでの過去をすべて肯定することになります。
過去は変えられませんが、過去の印象は変えられるのです。