フィンガーボールについて、有名がエピソードがあります。
その昔、イギリス国王エドワード8世が、アラブ首長の要人を招待して開いた夕食会がありました。
そのとき、アラブの要人の1人がフィンガーボールの使い方をよくわかっておらず、思いがけない行動に出ます。
なんと、飲み水と勘違いをして、がぶがぶ飲み始めたのです。
それを見たイギリス国王エドワード8世は、とっさの素晴らしい判断をしました。
アラブの要人に恥をかかせてはいけないと思い、自分もフィンガーボールの水を飲んだのです。
これは実際にあった実話です。
テーブルマナーに熟達した、エドワード8世のとっさの判断、かっこいいと思いませんか。
「マナー違反がマナーになる」という特殊な例です。
なかなか普通の人にできることではありません。
普通、マナー違反はかっこ悪いと思います。
しかし、相手に恥をかかせないためにする意図したマナー違反は、逆にかっこよくなります。
優しい気遣いと、とっさの判断による知的さが感じられるからです。
もちろん他人に迷惑がかかるような、あからさまな内容は避けるべきです。
しかし、相手がテーブルマナーを知らず、うっかりマナー違反をしたとき、あえて同調する。
時と場合によりますが、そういう選択肢を兼ね備えていれば、臨機応変に対応できる幅が広がります。
きっと、エドワード8世のような、粋なテーブルマナーの上級者になれるに違いありません。