私は今、髪が短いですが、高校卒業後の数年間、実は髪を伸ばしていた時期があります。
「男性は髪が短い」という固定観念が、生まれつき一般的に広まっています。
そのため、男性は心のどこかで「女性のように髪を伸ばしたい」という欲求があります。
私も、やはり「髪を長くしてみたい」という欲求を持つ人間の1人でした。
「男性は髪が短いものだ」という固定観念があるからこそ、禁じられた遊びをするかのように、逆に伸ばしたくなります。
男性が女装をしたい気持ちに似ているかもしれません。
また女性が、男性のようにショートヘアにしたい気持ちにも似ていることでしょう。
「その先には、いつもとは違った自分を発見できるのでは」
そういう気持ちがあり、わくわくした気持ちがありました。
高校を卒業して親元を離れ、私は一人暮らしを始めました。
自由になった私は、さっそく禁じられた遊びをするかのように、髪を伸ばし始めました。
髪が肩に当たるくらい伸ばしたのは、生まれて初めてでした。
今までは「理髪店」にしか行ったことがありませんでしたが「美容院」に行くようにもなりました。
たしかに髪を伸ばすことで、自分の印象は大幅に変わりました。
髪型は、人の印象を決めるポイントです。
しかし、髪を伸ばして一番強く感じたことは、まったく予想もしていなかった別の印象でした。
「髪の長い女性はすごいな」という尊敬でした。
とにかく髪の手入れは大変です。
夏は湿度が高いので、髪がぼさぼさになりやすく、手入れが大変です。
汗を拭いては、また噴き出す汗のため、何度手入れをしても終わりがありません。
一方、冬は冬で乾燥するため、髪がぱさぱさになりやすく、横に広がりがちになったことを覚えています。
髪を長くすればいつもと違った自分になれましたが、手入れのあまりの大変さに参りました。
こんなに手間暇がかかるとは、予想だにしていませんでした。
時間もかかるし、お金もかかる。
とにかく「髪の手入れは大変」の一言に尽きます。
これは髪が長ければ長いほど、苦労も努力も大きくなります。
私は今まで髪の長い女性を見て「美しいな」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、自分が髪の手入れをするようになり、髪の長い女性を「すごいな」と尊敬するようになりました。
「女性はいつもこんな大変な手入れをして美を磨いているのか。すごいなあ」
表には見せない苦労や努力を理解できるようになりました。
私の考え方は、がらりと変わりました。
髪の長い女性が、以前より好きになりました。
髪の長い女性は、美に対して人一倍のこだわりがあり、その苦労を乗り越え、努力ができる証拠だからです。
「美しい人には美しさを保つための苦労があり、努力がある」
自分が髪を伸ばして気づいたことは、それでした。
今でもその気持ちは変わりません。
美しいロングヘアの女性を見ると、表には見せない苦労や努力に「参りました」と頭が下がります。
私は自分が社会人になってから「仕事ができる女性」に出会います。
やはり仕事ができる女性に限って、比較的ロングヘアの人が多いように感じます。
長い髪をきちんと手入れできるほど苦労や努力ができるので、当然仕事もできるのです。