「……」
これほど強力な魔法の言葉はありません。
使い方しだいで、武器にも防具にもなり、諸刃の剣です。
言いたいことがたくさんあって何も言えないときには「……」となります。
「あなたには言う価値がない」と言ったときも「……」となります。
それから、喜怒哀楽も「……」で表現できます。
たくさんの気持ちを伝えるために、たくさん「言葉」を言うことは、たしかに必要です。
しかし「……」ほど、たくさんの気持ちがこもった言葉はないのです。
「……」とは、いわゆる沈黙です。
友人と電話で話しているときに、沈黙になってしまう瞬間と言うのがあります。
話の流れから「……」となってしまうことがあるのです。
こんなときの「……」は、奥が深いです。
言うことがなくなったり、どう表現していいのかわからなかったりしたときなど、たくさんの意味が考えられます。
「……」は、無限に解釈できるのです。
友人関係から、恋人関係に発達していくほど、実は「言葉」でのコミュニケーションの量が減ります。
代わりに、スキンシップやアイコンタクトになり、結果としてコミュニケーションが「……」になります。
お互いのことがだんだんわかり、言葉で意思疎通をする必要がなくなるのです。
本当に仲のいいカップルはあまり話しません。
究極のコミュニケーションは「……」です。
もはや言葉で表現しきれない心の気持ちは「言葉」では伝えることができないのです。