転職業界では「引き抜き」という行為が行われることがあります。
スカウトと呼ばれることもあります。
有望な人材を探し出し、ある企業に属している人を、自社に引っ張ってくることをいいます。
わざわざ退職させて、自社に来てもらいますから、恵まれた待遇を提示されるのがほとんどです。
さて、引き抜きの話が来れば、自分を認められたと感じ、舞い上がるのがほとんどでしょう。
多くの人の中から選ばれますから、大きな喜びと強い優越感を抱くはずです。
年収も上がる、待遇もよくなる、地位も上がる。
恵まれた待遇まで約束されているなら、何も文句はないと思うでしょう。
ところが、ここが要注意。
引き抜きが、よい結果に終わるとは限らない状況があることも知っておかなければいけません。
重要なのは、引き抜きを行う企業の財務状況です。
なぜ、有能な人材を求めているのか。
さらなる成長を求めるため、有能な人材を求めているとは限りません。
実態としては、業績悪化を立て直すため、有能な人材を求めていることもあります。
喜んで引き抜きを受け入れて転職したものの、大変な業務に追われる可能性があります。
相談できる上司や先輩がいない。
毎日、深夜まで残業が当たり前。
土日も休めない状態になる。
あげくの果てには、その企業が倒産する可能性もあります。
たとえ地位や年収が上がっても、倒産すれば、再び転職をしなければいけなくなります。
もちろん必要に応えたい気持ちもあるでしょうが、早まった行動はよくありません。
職が変わるのは、人生における大きな変化です。
引き抜きの誘いがあっても、早まった行動はせず、総合的に判断したうえで決断するのが賢明です。